妙な飲み屋



とある日、俺は連れの勧めで、その連れと二人で、大阪の江坂にある妙な飲み屋「異次元空間Lockup」に赴いた。

まず入り口の自動ドアをくぐると、薄暗い空間に扉が三つ。あたりは一つで、他二つを開けると、骸骨やら目玉の作り物が壁に埋まっていた。どこかのお化け屋敷か何かですか?と連れに聞くも、ヤツは沈黙を守ったままであった。

なんとか入り口を探し当てると、そこには青い警察の制服に身を包んだ姉ちゃんが二人。み、み、ミニスカポリスだ!!俺が目のやり場に困っていると、そのミニスカポリスは「はじめての方ですか?」と聞いてくる。(ここは居酒屋じゃないのでは・・・)と、勝手に推測し、不埒な勘違いをして、やたら期待しつつ頷く俺。

「それでは前科一犯となりますので、逮捕致します。」

常連客は常習犯にでもなるのだろうか。おもむろに手錠を出し、俺の腕にかけようとするミニスカポリス。がしかしかけそこない、手首の肉を挟まれ、痛いながらも何のリアクションもとれない俺。しかしなんの躊躇もなく、作業的に手錠をかけ直すミニスカポリス。一言くらい謝れミニスカポリス。いてえんだっつーのミニスカポリス

「お客様二名連行しまーす」

ワケもわからないまま、連行される場内。テーブル席が数個、座敷も数部屋用意されていたのだが、その座敷のふすまの代わりに鉄格子がかけられている。なるほど、刑務所にみたてているわけか。ようやく状況が把握出来た俺達は、メニューを手に取った。

普通であれば、「軽食」「肉料理」「揚げ物」など、わかりやすいカテゴリ別で並んでいるはずのお品書きが、「軽犯罪」「重労働」「囚人更正職人訓練室」などという、皆目見当がつかないカテゴリにわけられている。それだけならいざしらず、その料理、飲み物の名前すらワケがわからない。一体どんな食いモンなんだよ。電気ショックって。銃刀法違反って。執行猶予って。

まあそんな名前でも、一応その隣に軽い説明書きが記されていたので、どんな料理であるか見当はついたってのが事実なんだが、中にはその説明書きに一言「内緒!」とかわいらしく書かれていたものもざけんな。その内緒の飲み物を注文する連れも連れなのだが。



とりあえず飲み物を頼んでみようと、連れは「謝罪」を、俺は「人体実験カクテルセット」を注文。いや、モスコミュールとか、スクリュードライバーとか普通のもあったんだけどね。やっぱりこういうところにきたら、似つかわしいもんを注文しておかないとネ!はてさてどんな飲み物が来る事やら。しばらくして、囚人っぽいウェイターが飲み物を運んできた。



ビーカーに入ってくるバナナリキュール「謝罪」。



丸底フラスコ&試験管に入ってくる「人体実験カクテルセット」。



次からは普通のものを注文しようと後悔の念にかられる俺達。結局料理は無難なものを数品頼み、刑務所を出ることにした。しめて6800円にて保釈される俺達。刑期は一時間。いやあ貴重な経験させて頂きました。おみやげにマッチももらったし。

で、そのマッチを見てみると・・・あ・・・



名古屋にもチェーン店ありやがんの。



しかも職場の近くあたりに。


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