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「あと乗せサクサクじゃー！」
…というフレーズを「あぁ懐かしい！」と思うのか、
それとも「えっなにそれ？」と思うのか。
それは今これを読んでくれている人にゆだねなくてはいけないのだけれど。

なにそれ派の人たちに説明させていただきますと、
これは昔放送された『日清どん兵衛てんぷら（うどんorそば）』のCMでのフレーズです。

このCMが放送されてから、あと乗せサクサクが主流となりました。
僕には…それが悲しかった。
てんぷら（うどんorそば…めんどくさいので以下うどんで統一します）

てんぷらうどんのてんぷらは、衣がつゆでふやけてトロトロになってこそなのに！
それこそが魅力であり、それこそがてんぷらうどんではないのかと！
カリカリサクサクのてんぷらが食べたいのなら別に頼めばいいじゃないかと。

どん兵衛のようなカップ麺でサクサクを楽しみたいのなら、
わざわざあと乗せという手法を取らず、最初から別にして食えばいいじゃないかと！

とはいうものの、それはやっぱり好みの問題なわけで、押し付けるということはできません。
あとがいいのか、さきがいいのか。
卵が先なのか、ニワトリが先なのか。

マンガのキャラは言いました。
「月見は卵をつゆに溶いて食べるのがうまいんだ」と。
マンガのキャラは言いました。
「最後に黄身をつるんとすすって食べるのがうまいんだ」と。
というわけで、今回はうどんに落とされた生卵についてのお話です。
てんぷら？忘れて忘れて。



生卵を落としたうどんといえば、まずさっき挙げた月見うどんが代表格。
あとはやっぱり鍋焼きうどんや味噌煮込みうどん、
変わり種にはキムチうどん、なんていうのにも生卵が落としてあったりしますね。
そんなうどんに出会った時に気をつけなくてはならないのが、黄身を崩すタイミング！
ここを間違えてしまえば、全てがパアになりかねない。
それほど、うどんに落とされた生卵というものはとてつもない存在感を示しています。

真っ先に黄身を崩してしまえば、またたく間につゆと同化してしまい、
おいしくなるどころか、つゆは濁り、全体がぼやけた味にしかなってしまいません。
かといってグツグツ煮える鍋焼きうどんなんかだと、放って置けば瞬く間に硬ゆで卵。
あぁ目も当てられない光景！一体なんの為に生卵があったのだろう！

そんな夜は寝床で枕を涙で濡らし、胃は腸は、消化しにくくなった固ゆでの黄身を相手にてんてこまい。
夢の中ではニワトリさんが、お腹を痛めて産んだ我が子になんという仕打ちをと鳴き叫び、
無精卵だから、無精卵だからとニワトリさんを必死でなだめる養鶏業者。
僕はただただ俯いて、自責と後悔の念で胸が締めつけられ、夢の中でも涙を流し始めるのだ…

そうして朝が来る。ニワトリが鳴く。こけこっこー。


この悲劇、惨劇を逃れるために、僕たちは一体どう立ち向かえばいいのだろう。
つゆが濁らず、そして卵も固まらず、最適のタイミングで、最高の味わい方を！
僕は今も、それを探し求め続けている。



ま、そんなコトを考えながら食べていても、
結局は最初の方についつい箸で黄身を崩しちゃって「あーあ」ってなるんだけどね。

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