2009,04,07 / 20:08
病院で頭部を七針縫い、頭には包帯。幼い頃にちょっと憧れてた頭の包帯。大怪我ってのは、小学生の頃、一種のイベントのような盛り上がりを見せていたものだった。
だが、高校生にもなると、頭の包帯は憧れではなく、単なる羞恥に成り下がってしまっていた。このまま学校に行かなければならないとは。なんとも気が重い。
しかも次の日、3年と2年で、卒業式合同練習があったのだ。校則に厳しい男子校だった為、周りは学ランと頭髪の黒。一面黒の中に、俺の頭の包帯は否が応でも目立ってしまう。
そしてすぐに「単なる頭の怪我だし、何かあるわけでもないだろう。」と思いなおす。ちょっと自意識過剰になっていた自分を恥じた。
「3年生、入場」
練習とはいえ、本番さながらに進行していき、足並みを揃えて入場してきた後、席に着く3年。しかしここで、数名が何やらひそひそと内緒話をしているのを見た。そしてその波はしだいに広がり、3年全体がざわめきだしたのだ。よくよく見ると2年まで飛び火している。
そして彼らの視線は、俺の頭。いや、正しくは、俺の頭と体を見比べているかのような目配せである。
えー?頭怪我して包帯してるだけで全体がざわめくってどういう事?あんたら小学生か?と若干彼らを蔑んだ俺だったが、彼らは「頭に包帯巻いているヤツがいる」程度の理由で俺を見ているわけではなかったのだ。
ふと、ひそひそ話とは言えないであろう大音量の声が、俺の耳に入ってきた。
「・・・オニタ・・・」
「
オオニタが在校生に・・・」
・・・なるほど。蔑まれてるに等しいのは
俺の方だったのか。
高校生ともなると、想像力たくましくなるもんだ。小学生の頃とはさすがに違う。そりゃ頭の傷だけで騒いだりしないよな・・・そうか。俺が大仁田ってか。体がでかくて、かつ頭に包帯巻いてるだけで大仁田ってかこいつら。
前言撤回。所詮高校生なんてもんは、この程度のお粗末な直結的想像しか出来ないおろかな生き物だ。痛すぎて耳がとれそうな程、自分にもそのまま返ってくる言葉なのは承知の上でだ。
しかしそのざわめきも、先生の「静かにしろ!」の一喝でおさまることになる。なんのことはない。小学生が受けるべき注意となんら変わらない。そして静かになっても、なぜか残念そうな面持ちで俺を見る周りの生徒達。
・・・なんだよ。
「ファイヤー!」とでも言って欲しかったんかアンタら。
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もしくはサソリ固めを長州モロとも電流爆破して強引に脱出とかはいこの辺で黙ります。
それにしてもガタイと頭に包帯だけでオオニタはないですね流石に……。
そしてうっかり今だったら綾波とか言われるんだろうか、とか思ってしまった私。
私にとっての今って西暦何年やねん。