2011,02,14 / 20:28
「元新さん!私の親友ったらひどいんです!うそつきなんです!」
「どうしたの?落ち着いて話してみて?」
「だって友達ったら、大丈夫、桜は元気になるために行くのだからと言うけど、先生に言われた場所に関する場所、検索した。末期医療って言葉がでてきた。末期医療って何なのよ。何かの冗談だよね?」
話が全く見えなかった。末期医療ってなんだよ?どういう事だよ?俺は桜に最初から順序だてて話すように促した。
「友達にホスピスがある病院に入ることになったと言ったの。ホスピスについて友達は元気になるところだからって・・・。」
俺はこの時はじめて知った。桜はガン患者だったのだ。しかも医者からホスピスを薦められるほどの末期患者。言葉が出ない。本当に?嘘だろ?なんでいきなり?
桜はホスピスという場所の事をよく知らなかった。だから親友に聞いた。そして親友は「桜が元気になるところだから。」と。
しかし桜はホスピスをネットで調べてしまい、末期患者が行くところじゃないか!と怒ったのだ。親友なのに嘘をついた!と。
でもこれは、その親友なりの優しさなんだと、桜の事を思って言ったことなんだと諭した。そして落ち着きを取り戻した桜は一言、俺にこういってきた。
「私、死んじゃうのかな・・・?」
何も言えなかった。俺の中でもホスピス=安らかな死というイメージしかわいてこない。ただ、一言だけ。
「入院する前に、俺、そっち行こうか?外見がどうのとか、そんなのもう関係ないから!」
しかし彼女の返事はノーだった。彼女は自分ではもうだめなのかもと思いながらも、それでも元気になろう、元気になろうって思っていた。だから
「来年、桜が咲く頃までには元気になるから、そしたらデートしてください!」
と俺に言ってきたのだ。そして彼女は、ホスピスで余生を過ごす事より、ガンを治療する事、ガンと戦う事を選んだ。
たったひとつの、俺との約束を果たすためだけに。来年デートする、その約束のためだけに、ずっと辛くて苦しい道を選んだ・・・。
■同カテゴリ最新記事■