2009,04,05 / 08:15
自分の頭から滴り落ちる血。みるみるうちに床に赤い水たまりを形成していく。何をどうしていいかわからない。手で押さえても到底止まるものではなく、ともすれば助けを呼ぶという至極当然な結論にしか達しなかった。
「父さーーーん、母さーーーん!ちょっと来てぇーーーー!」
内容にして他愛もない言葉だが、そんな言葉をただひたすら必死に叫ぶという異常事態。しかし両親の姿は見えず。壊れたレコードのように、同じフレーズを何度も何度も。何時間とも思える何秒を経て、ようやく両親が揃って登場。
「ど、どうしたの!?うわっ!」
足元の血だまりに気づいたようだ。俺の視界には父の脚。さらに安心したい俺は、その視界に両親の姿を捉えるべく、四つんばいながらも顔をあげた・・・な・・・な・・・
なんで二人ともすっぱだかなんですかね。アレ?
あぁ!?なに!?
二人で風呂入ってた?いやいや今までそんなことしたことなかったやんけ!なんで今日に限って仲睦まじいっぷりを発揮してんだオイ!つっこみどころ満載なのに、ただパニックの俺にはそんな余裕もない。
しかる後、タオルを頭に巻いて、親父の車で病院へ。ついた頃にはタオルは真っ赤。こんな状態に陥った、かつこんな血を見たことがない俺は、未だに鈍い痛みを訴え、もはや麻痺に近い状態の頭をおさえながらも、不安でいっぱいだった。そして診察室へ。
「あれまあ。またキレーに切れてるねえ。じゃ縫っとこか。」
あれ。そんだけ?いや、こんなに血がでてんのに。たったそんだけ?
「まあ、頭には毛細血管が集中してるからね。やたら血が出るんだよ。心配ない心配ない。」
結局は、スキップした時に、前頭部を壁のカドにぶつけて、皮膚が切れただけの話だった・・・男は血に慣れていない。そんな言葉を思い出していた。先人の意見というものはなるほど的を射ているものだと一人感心する。
「ただ、6時間以内に気持ち悪くなったりしたら、
脳に異常があるかも知れないから気をつけて。」
安心させたいのか不安がらせたいのかどっちなんだよ先生よ。そして手術台らしきところに寝かされて、ドラマでよく見るライトに照らされた。大したことない怪我でも、このライトを見ているだけで妙な不安に煽られるものだ。
あまつさえこの先生は、縫っている最中に、近くでガチャーンと物音をたててる看護師のほうを見て
「まったくあのこは相変わらずドジだねえ」
あははいつもドジなんだあの看護師さ
人の頭縫ってる最中に目そらすなよ。ついノリツッコミしてしまうだろそんなことされたら。勢い余って
まつり縫いとかされたらどうしようという、新たな不安まで生まれる始末。
・・・その後、6時間どころか何日経っても気持ち悪くなったりはせず、事なきを得たわけですが・・・
「ゲーム売った金より、治療費のほうが高かった」
という、どうしようもねえオチまでついた武勇伝でした。どのあたりが武勇なのかは各自でご判断下さい。
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