2010,04,28 / 02:26
知り合って十数年。いつも明るくてみんなのムードメーカーだった友人Kが鬱になった。
月に1回は遊びに行っていた友人だったのに、今じゃ電話すら怖いらしく、たまのメールだけが唯一の連絡手段だった。
ご両親に話を聞くと、仕事をやめ、家族と会話する事も出来ず、部屋にこもりきりだそうだ。そんな状態が数ヶ月続いているらしい。
十数年も顔合わせてる親友なのに、そんな状態の彼を想像するのは容易ではなかった。なんとかしてやりたいのに、何も出来ないもどかしさが、俺を襲い続けた。
「頑張れ!」なんて言おうものなら、かえって相手を追い詰めてしまう。何かしてやりたいという事事態おこがましいのかもしれない。
鬱というのは、何とかしたい、してやりたいと思わず、ただ黙って見守るしかない病気。一般に言われている「心の風邪」なんて表現には俺は納得できない。
風邪引いたくらいで自殺するやつがいるか?心の風邪どころか、下手するとガンにもなりかねない。そんな病気なのに。風邪だなんて表現が軽すぎる。
だからこそ、何とかしないとと、周りばかりが焦ってしまい、対象者に提案なり何なりを持ちかけてしまう事が多い。
・・・ダメだダメだ。とにかくメールが来たらすぐ返す。これしか今の俺に出来ることはないのだ。
そしてKが鬱になってから半年後、彼からこんな内容のメールが来たのだ。
「今度の土曜日、ちょっとパターゴルフつきあってくれない?」
俺は驚いた。今まで家族ともうまく話できなかったKが、外に出たい、と。
それがKにとって少しでも役にたつのならお安い御用だ!と思いつつも、正直どんな顔して会っていいかわからなかった。
しかし会ってみるとKは今までと何ら変わらない様子。ゴルフを普通に楽しみ、冗談を言いつつ二人で笑いあった。
・・・そして18ホール。しばらくの沈黙の後、Kが口を開き、笑った。
「こんなに笑ったの・・・人間らしく振舞えたの、久しぶりだわ。」
お前俺にそんな事言うなよ。お前の前で泣きたくねえんだよこっちは・・・
そうか、よかったなーなんて普通に振舞って涙こらえるの、結構しんどかったんだからな。
・・・もう、2年ほど前の話ですけどね。
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Kさんのことだからどーせ引っ張っといてなんか来るんだろうなと準備していたのにすごく真剣な終わりかたで驚きました。